- サーストンの三原則って何?
- マジックには3つのルールがあるの?
こういった疑問にお答えいたします。
マジックの世界では、「サーストンの三原則」と呼ばれるものがあります。
マジシャンであれば、最低限覚えておきたい、3つのルールです。
初めて聞いたコトバだという方は、この機会に覚えておきましょう。
ここでは、サーストンの三原則について紹介します。
こんにちは、週末マジシャン・バッザです。
マジック歴25年、会社員のかたわら週末に、施設、イベント、飲み会でマジックを披露するほか、手品講座を依頼される週末マジシャンです。
このような私が、解説していきます。
あなたは、この三原則を覚えておくと、マジックを披露したときに、「あ、なるほど、こういうことか」と思う出来事に直面するかもしれません。
そのとき、改めて、このルールで言っていることが身に染みて、思い返すことでしょう。
もちろん、「原則」ですので、例外はあります。
ここでは、サーストンの三原則を紹介するとともに、例外や対処法についても触れてみたいと思います。
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サーストンの三原則とは?
「ハワード・サーストン(1869年~1936年)」は、アメリカ出身の偉大なマジシャン。
名前からして、彼がこのルールを唱えたかと思われますが、実際は不明です。
サーストの三原則を簡単に紹介します。
原則1.あらかじめ起こる現象を言ってはいけない
原則2.同じマジックを繰り返してはならない
原則3.種明かしをしてはならない
では、それぞれのルールについて、もう少し深く触れてみたいと思います。
原則1 あらかじめ起こる現象を言ってはいけない
マジックの面白さには、「これから何が起こるんだろう」というワクワクするような、期待感が必要です。
テレビのドッキリ番組のように、何が起こるか分からないから、驚きがあります。
はじめから、何が起こるのか分かってしまえば、相手も身構えますし、驚きは半減してしまいます。
たとえば、
「ここからフルーツが出てきます」などとあらかじめ言ってしまえば、観客は、「そうかフルーツが出てくるんだ」と予測してしまい、驚きの効果は薄れてしまいます。
落語で言えば、「オチ」を先に言ってしまうようなものです。
もちろん、例外はありますが、初心者のうちは、この原則を守っておいたほうが無難でしょう。
経験をつみ重ねて、自信がついてきたら、別の演出も考えみるのがよいでしょう。
では、その例外について触れます。
Mr.マリック氏がこの原則1を打ち破った人物
「先に結論を言う」
これは、Mr.マリックさんが、テレビによく出演していた時代に培った経験則だと言います。
「誰も真剣にテレビを見ていない」ということを前提として、お客さんを画面に、クギ付けにしておくために考えられた演出、だと言います。
「コチラに瞬間移動します」
「コインが目の前でグラスを貫通します」
などと、Mr.マリックさんは、最初に、どのような結果になるかを言ってから、その通りのことを見せて、驚かせます。
先に現象を言ってしまってから、ゆっくり実演をしていく......
この順番だと、コマーシャル(CM)が入っても、視聴者は待ってくれる。
このようなことを、マリックさんは著書「超魔術の裏技術」の中で語っていました。
マリックさんの著書には、非常に参考になることが詰まっています。
参考までにamazonのリンクを貼っておきます。
ただ、原則1を打ち破ることは、経験を積み重ねて自信がついたマジシャンが言えることです。
基本的にマジックは、お客さんが想像や期待している以上のことを、見せることによって、驚き、笑い、感動を起こすことができます。
このため、まだ経験が浅いうちは、原則1を守っていたほうが無難であると考えます。
それでは、二つ目の原則にいきましょう。あなたは、「もう一回やって」と言われたことがありますか?
原則2 同じマジックを繰り返してはならない
マジックは、一度だけ、見たからこそ、美化されて記憶に残るものです。
観客から、「もう一回やって」というリクエストがあった場合は、相手は結果を分かった上で、もう一度見ることになります。
マジック初心者であれば、この「もう一回やって」という言葉に、心を動かされることもあります。
それは、あなたの自尊心がくすぐられるからです。
一瞬、いい気分になってしまいます。
しかし、観客の本音は「次は、タネを見破るから」、という目線で見られることになります。
さらに言うと、「タネあかししてほしい」と言っているのと同じです。
次は、あなたが見てほしくないところも、見始めます。
マジシャンと観客は、敵対心が芽生える可能性もでてきます。
そうなると、相手を楽しませるというエンターテイメントからかけ離れた関係になってしまいます。
原則2にも例外はあります
こちらも例外はあります。
カードマジックで有名な、「アンビシャスカード」という作品があります。このマジックでは、何回も見せることによって、いっそうの不思議さを与えることができます。
クロース・アップ・マジシャンの前田知洋さんが、テレビで披露していたアンビシャスカードは、その典型です。
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ですので、必ずしもこの原則が正しいとは、言えません。
しかし、経験が浅いうちは、同じマジックをその場で、同じ人に見せることは、タネがバレやすくなる可能性が高まってしまうことを、頭に入れておくことをオススメします。
対処法
では、どうすればよいか?
対処法の一つとしては、あなたのマジックのレパートリーを増やすことです。
たとえば、「もう一回やって」と言われた場合は、「では、似たようなマジックでこのようなものがあります」と言って、別のマジックに移るといった対応もその一つです。
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それでは、最後は原則3です。
もっとも基本的なことでありながも、多くの人が直面する場面と言ってもいいでしょう。
原則3 種明かしをしてはならない
ご存じのとおり、マジックのタネは、おどろくほど単純な仕組みになっています。
観客がタネを知ると、「なんだ、こんな簡単なことにだまされていたのか」、とガッカリする可能性も考えられます。
不思議な現象見た観客は、夢や妄想をふくらませて、スゴい言ってくれていました。
もしも、「タネを教えて」と言われて、あなたが教え始めると、その瞬間は、タネを知っている自分が偉いと錯覚してしまい、優越感に浸るかもしれません。
しかし、それまでは、「スゴい」と言われていたあなたの評価は、タネを知った瞬間に、下がってしまいます。
単純な仕掛にひっかかったと思った観客は、あなたに反撃をするかもしれません。
「そうだろうと思ったよ」と言われてしまった瞬間、あなたは教えたことに後悔するでしょう。
私も何度も経験してきましたが、観客は、「タネを知った瞬間に人格が変わる」、ということを覚えておきましょう。
対処法
この状況を回避するには、どうするか?
基本的には、「マジックの種明かしを強要する人の前では、マジックを見せる必要はない」、と考えていたほうがよいでしょう。
その場の雰囲気に流されそうになったり、せっかくマジックの準備をしてきたのだから、と見せたい気持ちにもなることも、あるかと思いますが、そこは思い切って、ガマンするのです。
準備していたマジックを、そのときにやらないことによって、あなたの価値も上がることがあります。
しかし、マジックを見せていて、ふっとしたタイミングで「マジックのタネあかし」の話題になることもあります。
もしも、そのようになったのなら、次のマジックに移るか、または、「一緒に簡単なマジックを覚えましょう!」ということで、簡単なマジックをひとつくらい教えてあげるという方法をとるのがよいでしょう。
そういったときのために、簡単なマジックを身につけておくというのは、非常に有効であります。
初心者の頃は、みんなが、あっと驚くマジックを早く身につけたい、という気持ちもわかります。
しかし、マジックの種明かしを回避する、という意味では、簡単なマジックを覚えておくのは、非常に有益なことです。
簡単なマジックを、一緒に覚えるという意図で教えてあげる、ということは。マジックの種明かしを避けるという意味でも、必要なことだと考えます。
このような、簡単な輪ゴムマジックであれば、手軽にできますので、教えてあげると喜ばれるかもしれません。
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最後に
今回は、「サーストンの三原則」を紹介しました。
これまで、この三原則を知らなかった人は、ご自身が過去にマジックを見せたことを思い出して、うなずけるような場面があったのでないか、と思います。
しかし、マジックを見せるときは、相手の性格、環境、自分のスタイルなどさまざまです。
必ずしも、このルールを守らなければならないということではありません。
あくまでも、参考程度にとどめておくほうが良いでしょう。