- 劇団ひとりの「青天の霹靂」
- 映画のあらすじは?
- 初監督・脚本で本人も出演?
- ネタバレ・感想は?
こういった疑問にお答えいたします。
こんにちは、週末マジシャン・バッザです。
マジック歴25年、会社員のかたわら週末に、施設、イベント、飲み会でマジックを披露するほか、手品講座を依頼される週末マジシャンです。
このような私が、紹介していきます。
青天の霹靂(へきれき)は、劇団ひとりの2作目となる小説を、本人が初監督を務め映画化した作品。監督・脚本・出演までこなし、劇団ひとりのマルチな才能が遺憾なく発揮された力作ともいえます。笑いあり、泣けるシーンがあり、そして、1973年の浅草を舞台したレトロ感がどこか懐かしさを感じさせてくれる感動の映画です。
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映画「青天の霹靂(へきれき)」作品概要
- 作 品 名 青天の霹靂
- 公 開 日 2014年5月24日
- 上映時間 96分
- 監 督 劇団ひとり
- 脚 本 橋部敦子・劇団ひとり
- 原 作 劇団ひとり
- 出演者 大泉洋・柴崎コウ・劇団ひとり
- 音 楽 佐藤直紀
- 主題歌 Children「放たれる」
映画「青天の霹靂」あらすじ・感想
大泉洋さん主演、劇団ひとりさん初監督のマジシャンを題材にした作品です。
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劇団ひとりの小説「青天の霹靂」誕生のきっかけや感想など
劇団ひとりの小説の青天の霹靂(へきれき)の あらすじは? どんなきっかけで書いたの? エピソードって何があるの?_ こういった疑問にお答えいたします。 劇団ひとりさんの小説「青天の霹靂( ...
ここでは簡単なあらすじや感想などを交えて紹介しています。
冒頭のフレーズから引き込まれる
「いつからかな、自分を“特別”だと思わなくなったのは」
このワンフレーズから、物語が始まります。
いきなり共感し、引き込まれてしまいます。
私の心の中にある葛藤している何かを、はっきりと言葉で表現されてしまったからです。
そもそもこの映画を見に行った理由は、マジックを題材にしていたため、どんなマジックシーンが表現されるのだろう、というその興味と面白さの期待が大きかったからでした。
しかし、冒頭でその期待以上のフレーズに突き刺さりました。
ストーリーの冒頭はこんな感じで始まる。
主人公の轟晴夫(大泉洋)は、自分を特別な人間だと思っていた。
まわりの奴らをバカにしていた。
まわりの奴らは、普通に就職して、普通に家族を持って、そんな普通の人生しか歩めないのだろう、と。
でも、今になってわかる。
そんな普通の人生を手に入れるのが本当は、すげぇ難しいことだと。
努力して、苦労して、それでやっとどうにかなれんのが普通なんだ。
しかし俺は・・・
普段何気なく使っていた「普通」という言葉。
普通じゃダメだ、普通じゃ嫌なんだよ、と普通を否定していたが、実は年齢を重ねるごとに、この「普通」という重みを実感する。
この冒頭のセリフを、大泉洋はカードマジックを披露しながら言う。
とても見ごたえのある華麗な手さばきだ。
大泉洋は、この映画出演にむけて、4カ月間、有名なプロマジシャン・魔耶一星からマジックの指導を受けていたという。
大泉洋のカードマジックの手さばきと冒頭のセリフ、いきなりダブルで、期待感がハンパないくらい高まる。
売れないマジシャン・轟晴夫(大泉洋)
先に売れた後輩マジシャンから、タメ口を聞かされる、うだつの上がらないマジシャン・主人公の轟晴夫(大泉洋)。
マジックバーでは、オリジナルマジックを期待するテレビ関係者にマジックを見せるも、ひねくれたように簡単なコインマジックで、相手をシラケさせる。
住んでいるのは老朽化が激しいアパート。
人生に絶望する材料はすでにそろっていた。
母親は、晴夫が生まれたと同時に蒸発と父親から聞かされる。
父子家庭で育つ。
高校卒業後は家を出て以来、父親とは会っていない。
17年間場末のマジックバーで働く売れないマジシャン。
晴夫は、テレビ番組のオーディションを受け、手ごたえを感じ、そして、電話がなる。合格の連絡かと思いきや、警察からだ・・・父親が亡くなったという内容。
父親の最期は、ホームレスだった。
亡くなった父親に向かって言う。
生きていくことの難しさ、どうして自分は生まれてきたのか?
そんな人生の絶望を、ぶつけた。
大泉洋さんの身近にいるお兄さん的な雰囲気が、このストーリーに自然と溶け込んでいく。感情が揺さぶれてしまいます。
大泉洋さんの演技では、主人公の絶望感を醸し出しながらも、どこかバラエティのような明るさもある期待感を感じさせるため、ほどよいどん底からのスタートで楽しむことができる。
そしてここから、展開が変わる。
青い空の中が眩しく光り、轟音がした。
晴夫は雷に打たれ意識を失った。
1973年にタイムスリップしてしまい、父・轟正太郎と妻・悦子とである。
そして晴夫が生まれたルーツを知る物語が始まる。
晴夫がタイムスリップ 気いづたそこは1973年
雷に打たれ、意識を失った晴夫(大泉洋)。
気づいた世界は、1973年。まだ晴夫が生まれる前の時代だ。
晴夫は浅草で、マジシャンとして舞台に立つことになる。
浅草演芸ホールの支配人(風間杜夫)に、スプーン曲げを見せて、気に入られたからだ。
しかし、浅草の舞台に立つのは、まだ不慣れ。
そこで、助手についたのが、若かりし頃の母・悦子(柴崎コウ)だった。
晴夫のスプーン曲げは、浅草演芸「雷門ホール」で大きな反響を生んだ。
晴夫は悦子との会話の中で、なぜ母親は自分を捨てて、家を出て行ったのか?
知れば知るほど、謎が深まる。
やがて、真相を知ることとなる。
自分は母親から愛されていたことを知る。
晴夫は、自分がこれまで父親から聞かされていた母親からの絶望のストーリーだったはずが、違うことを知り、苦しい思いになる。
悦子が舞台に出られなくなり、急遽、コンビを組んだのが、若かりし頃の父・正太郎(劇団ひとり)との出会いもある。
警察がだまされてちゃ世話ねぇよな
映画の中での印象的なセリフだ。
父・正太郎は晴夫の前で2回言う。
過去と現在で、2回このセリフを言うことによって、結びつきが感じられるのだ。
正太郎は、警察を過去と現在で2回だます。
そこには、正太郎らしさがにじみ出ている。
過去のシーンでは、正太郎は、警察から500円を盗み取ることをするが、現在のシーンでは、ある目的のために警察を利用する。
まるで浅草芸人が地で行くように警察を手玉にとるところが痛快です。
現在で正太郎が、警察をだましてまでやりたかったことは何か?
それが、ストーリーの親子愛の核心部分に触れているような気がします。
ぜひ、本編をお楽しみください。
悦子と晴夫の会話
病室で母・悦子と晴夫の会話。
未来のお腹の赤ちゃんはどうなっているのか?悦子は晴夫に尋ねる。
運動や勉強はいまいちで、モテるほうではない、
父・正太郎から教えてもらったマジックで、小学生のとき人気者になる、
バレンタインチョコを冷蔵庫にしまっていたら正太郎に食べられたこと、
そんな会話でお互いが笑いあう
悦子にとって一番聞きたかった核心に触れる
「私は、子どもにとってどんな母親?」
晴夫は、慎重に言葉を選びながら伝える。
母親から、どれだけ強く望まれて生まれてきたかを知り、人生がとても愛おしいと感じ、私の生きる理由は悦子さんです。そんな母の子どもに生まれてきてよかったと。
このときの演出がとても印象的だ。
晴夫(大泉洋)のセリフとともに、窓から光が入ってくる。
晴夫の人生が希望に変わる瞬間なのだと感じられるシーンです。
監督・劇団ひとりさんの演出が際立つところだと感じる。
その心情がストレートに入ってきます。
悦子は分娩室に入る前に、正太郎と最期の言葉を交わす。
映画のラストになると、晴夫は現在に戻ってくる。
タイムスリップ前の晴夫とは、あきらかに周りの景色が違って見えるようになっていた。
そして、最後の最後に、予想と違う再会がある。
晴夫がその再会の際に言ったひとこと。
「ありがとう」
シンプルながらもとても印象が残る言葉を、用意されていたのだなと、劇団ひとりさんの人柄がにじみ出ているようでした。
随所にマジックを楽しめる
このブログを読んでいる方は、マジックに興味を持っていることだと思うので、マジック的に楽しめるポイントを紹介します。
青天の霹靂の中では、さりげなくコインマジックをみせるシーンがあります。
大泉洋さんも演じるのですが、大泉さんの父親役の劇団ひとりさんも同じコインマジックを演じていています。
右手に持ったコインを左手に渡すシーン。
左手を開くとそのコインは消えています。
左腕のひじのあたりから、コインが出現します。
手の中にあるはずのコインが、消えている!というシンプルなマジックなのですが、さりげなく見せるところがかっこいいです。
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その他にも見所があります。
タイムスリップした大泉洋さんが、父親役の劇団ひとりさんと出会うシーンです。
大泉さんが「浅草でマジックやってます」と言ったら、劇団ひとりさんが、「おお!マジシャンか!」と言ってます。
この響きすっごく好きです。
あなたは、誰かに「おお!マジシャンか!」って言われたら、どんな気持ちになりますか?
なんか「俺ってマジシャンなんだよな」ってニヤニヤしてしまいませんか?
青天の霹靂を見てて、このセリフのシーンがとても印象の残りました。
そして、後半では、大泉洋さんがステージでハト出しマジックを披露します。
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とてもカッコイイです!
堂々とした演技で、目が輝いていて、その演技をみている観客が驚くシーンがあります。
この驚くシーンを見ると、すぐにでもマジックを人に見せたくなることでしょう。
人が驚いたり、感動したりする姿を見ると、もっと上手に、もっと楽しく見せたい、と思うようになります。
そして、大泉洋さんがどのようにして、タイムスリップから現代にもどってくるのだろうか?というように思っていたのですが、
いかにもマジシャンらしい現代への戻り方をしているシーンを見て、感動しました。
最後に
今回は、映画「青天の霹靂」を紹介しました。
ストーリーの中に、演芸やマジック、昭和のノスタルジックさも感じさせ、本当に楽しめる映画でした。
大泉洋さんと劇団ひとりさんとのかけあい、そして昭和時代の芯の強い芸人の妻を演じた柴崎コウさん、3人の俳優の良さが凝縮された作品です。
そして、マジックが好きな方なら、いっそう楽しめるおすすめの映画です。
ますますマジックが好きになりますよ。
劇団ひとりさんが、この作品を作るきっかけとなったのは、ある日マジックバーで、如月琉さんというマジシャンのマジックを見たのがきっかけだったと言われています。
如月琉さんについては、別のページで解説していますので、合わせてお読みください。
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まとめ
人生の絶望にいた晴夫(大泉洋)が、本当の親の愛を知る
大泉洋と劇団ひとりとのかけあいも見どころ
随所でマジックのシーンも楽しめる
笑いと涙がほどよいバランスで感動できる映画