マジックの3原則(サーストンの3原則)の3つ目は、マジックの種明かしをしてはならない、ということです。
これも基本原則としてしっかりと覚えておきましょう。
たとえば、あなたのマジックで相手が驚くとします。
そのとき、人によっては、一瞬、夢や想像をふくらませて、スゴいと思ってくれるとします。
しかし、そのマジックの種明かしをしてしまうと、こんな簡単なトリックにひっかかってしまい、何かバカにされたような気分にさせてしまうことがよくあります。
見ている人の夢や想像心をくずさないようにしてあげるのも、タネ明かしをしてはいけない理由になります。
以前、私はコップの中からレモンを出現させ、とても周りを驚かせたマジックをしたことがあります。
その後、そのレモンはどこから出てきたのか?という話題になり、「近所のスーパーで買ってきた」と言っただけで、
「そんな夢のないこと言わないでほしい」と言われたことがあったのです。
もちろん、人によるし、時にはこれが、ジョークとなって笑いをとることができる場合もあります。
ただ、その人にとっては、いつまでも不思議のままの気分でいたい、という人だったのです。
そんなことを実感した出来事でありました。
マジックを見た人の中にはすぐにタネを知りたがる人がいます。
日常生活の中で、それほど目立つ存在でない人が、マジックを見せたことによって、急に注目されるようになります。
そして、タネを教えてとお願いされるようになった場合、自分の自尊心もくすぐられて、気分が良くなります。
そんなはずみで、ついついネタばらしをしてしまうことが、初心者にはよくあります。
しかも、相手が聞いてもいないのに、はずみで教えてしまう場合もあります。
ネタバラシをした瞬間は確かに盛り上がります。
ただし、それは一瞬だけです。その場だけです。
あなたは、その後で、自分でネタバラシしたことに後悔することでしょう。
もう次からは、その場でマジックが盛り上がることはない可能性が大です。
あなたの知人、友人は「何度見ても分からない」から、また注目してくれる、ということを
忘れないようにしましょう。
やはり、普段注目されていない人がマジックを見せて、自分自身も気分が高揚しているのです。
タネを知っている自分が偉いようい錯覚してしまい、教える側の優越感みたいなものが、つい、出てくるのでしょう。
しかし、そこで調子に乗って、種明かしをしてしまうと、
「そうだろうと思ったよ」とか言われるのがオチなのです。
タネ明かしをした瞬間に、相手の人格が変わってしまう、という経験をしたことが何度もあります。
次にあなたは別の人にマジックを見せたとしても、種明かしをした人が同席をしていた場合、
特に、酔った席ですと、平気で種明かしを言ってきます。
ですので、その場でマジックの種明かしをすることは、自分で自分を苦しめることになります。
では、種明かしを強要された場合、この状況を回避するには、どうすればよいか?
基本的には、マジックの種明かしを強要する人の前では、マジックを見せる必要はないと、考えていたほうがよいでしょう。
その場の雰囲気に流されそうになったり、せっかくマジックネタをを用意してきえいるのだから、見せたい気持ちにもなることもあるかと思いますが、そこは思い切って、ガマンするのです。
せっかく準備していたマジックを、そのときにやらないことによって、あなたの価値も上がることがあるのです。
しかし、マジックを見せていて、ふっとしたタイミングで「マジックのタネあかし」の話題になることもあります。
もしも、そのようになったのなら、次のマジックに移るか、
または、「一緒に簡単なマジックを覚えましょう!」ということで、簡単なマジックをひとつくらい教えてあげるという方法をとるのがよいでしょう。
そういったときのために簡単 マジックを身につけておくというのは非常に有効であります。
最初の頃は、みんなが、あっと驚くマジックを身につけたいという気持ちもわかりますよ。
しかし、マジックの種明かしを回避するという意味では、簡単なマジックを覚えておくというのは非常に有益なことです。
簡単なマジックを、一緒に覚えるという意図で、簡単なマジックを教えてあげる、ということは。マジックの種明かしを避けるという意味でも、必要なことです。
逆にこの記事を読んでいる方は、絶対にマジックの種明かしを強要しないように、マナーよくマジックを見ていただきたいと思います。